トレンドは高値と安値で定義する
チャートでトレンドを判断するいちばん基本的な基準は、高値と安値の位置です。価格が上げ下げを繰り返しながら、高値も前より高く安値も前より高ければ上昇トレンド、高値と安値がそろって低くなっていけば下降トレンドと呼びます。高値は切り上がるのに安値は切り下がる、あるいはどちらも同じくらいの高さにとどまるなど、一方向に積み重ならない場合は、横ばいか、方向がはっきりしない状態とみなします。この基準は価格だけを使うので指標がなくても当てはめられ、何を見てそう判断したのかを人に説明しやすいという利点があります。
例: 上昇トレンド。スイング高値(左右3本より高い足)とスイング安値が交互に現れ、どちらも階段のように切り上がっていきます。
- 上昇トレンド:より高い高値と、より高い安値
- 下降トレンド:より低い高値と、より低い安値
- それ以外:横ばい、または方向がはっきりしない
スイング高値・安値を決める基準
高値と安値を比べるには、まずどの足を高値とみなすかを決めなければなりません。よく使われる定義がスイングです。ある足の高値が左側N本と右側N本の高値より高ければスイング高値、安値が左右N本の安値より低ければスイング安値です。Nが小さいと小さな揺れまで高値・安値として拾われて構造が頻繁に変わり、Nが大きいと大きな波の頂点だけが残ります。サポート・レジスタンス自動検出ツールが「スイングの強さ」と呼んでいる値がこのNで、3・5・8から選べます(初期値は5)。同じチャートでも、Nを変えるとトレンドの判断が変わることがあります。隣に同じ値の足があるときの扱いも、ツールによって少しずつ違います。
スイングはいつも遅れて確定する
スイングの定義には右側のN本が含まれています。そのため、ある足がスイング高値かどうかは、その後さらにN本が確定し、その間にそれより高い高値が出なかったことを確かめてからでないとわかりません。日足でNが5なら、高値をつけた日から5日たたないと確定せず、その間に価格はすでに高値からかなり下がっていることもあります。過去のチャートでは高値と安値がはっきり見えるのに、リアルタイムでは「高値かもしれない足」しかないという違いは、ここから生まれます。
例: スイングの強さ5で見たスイング高値。右側の5本がすべて確定し、それより高い高値がないことを確かめてから、ようやく高値として確定します。確定する足の終値は、すでに高値より約7%下にあります。
構造が崩れる地点
上昇トレンドの構造を見るとき、基準になる価格は直前のスイング安値です。安値の切り上げが続くことが上昇構造の半分なので、価格がその安値の下で終値をつけると「より高い安値」という条件が崩れます。ヒゲだけが一瞬下に出て戻った場合は区別して扱い、この違いはブレイクとダマシの記事で取り上げます。構造が崩れたからといって、すぐに下降トレンドになるわけではありません。下降トレンドと呼ぶには高値と安値がそろって切り下がる形が続く必要があり、それまでは方向がはっきりしない状態とみるのが定義に沿っています。下降トレンドでは上下を逆にして、直前のスイング高値を終値で上回ることが同じ役割を果たします。
例: 上昇構造が崩れる瞬間。高値が前より低くなった後、直前のスイング安値(水平線)の下で終値がつきました。
トレンドは時間足ごとに違う
同じ時点でも、日足では上昇トレンド、1時間足では下降トレンドということはよくあります。日足では一度の押しにすぎない動きが、1時間足では高値と安値が何日も切り下がる小さな下降トレンドに見えるからです。どちらかが間違っているのではなく、それぞれ違う大きさの流れを見ているので、トレンドについて話すときはどの時間足が基準なのかを一緒に示すと意味がはっきりします。複数の時間足を合わせて読む方法はマルチタイムフレーム分析の記事で扱い、マルチタイムフレーム・トレンド表ツールは15分足から週足までのトレンドを1つの表にまとめて示します。
指標は同じ構造を別の形で要約する
トレンドを教えてくれるという指標も、ほとんどは高値と安値の流れを別のやり方で要約したものです。移動平均線が上を向いているということは直近の価格の平均がその前より高いという意味で、スーパートレンドはATR(平均トゥルーレンジ)の何倍か離れた追跡線を終値が越えるかどうかで方向を決めます。指標はルールが決まっているので誰が計算しても同じ答えが出るという利点がありますが、過去の価格で計算するため、方向が変わったことを遅れて知らせる点はスイングと同じです。
- 移動平均の傾き:平均が上がっていれば上昇側
- スーパートレンド:終値が追跡線を越えると方向が転換
- マルチタイムフレーム・トレンド表:終値・EMA20・EMA50の位置とEMA20の傾きでつけた−3〜+3のスコア
限界:トレンドの判断は予測ではない
高値と安値で下した判断は、これまでの形を説明したものであって、次にどちらへ行くかを教えるものではありません。この講座でバイナンスの10銘柄の日足(各銘柄のバイナンス上場日から2026年9月まで)を測ったところ、20本後を測れるすべての足29,746本のうち、20本後の終値のほうが高かった割合は50.4%でした。20本後の平均リターンは+4.62%でしたが、これは少数の大きな上昇が押し上げた値で、中央値は+0.15%でした。トレンドの区間だけを選び出した結果ではありませんが、価格が大きく上がった期間でも、無作為に日を選んで20日後を見ると、上がっていたのは半分あまりだったということです。トレンドの判断は損切りの位置を決めたり、どのルールを使うかを選んだりするときの枠組みであって、トレンドが続くことの保証ではありません。
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